教室長インタビュー
掲載順
01 赤居杉月(参事・大阪)2021.6.23
02 中山桜陽(準会員・香川)2021.6.23
03 森口虹月(審査会員・徳島)2021.7.25
04 井上扇寿(理事・大阪)2021.7.29
教室長インタビューを始まりました!第1弾は役員・会員から各1名、広報部がぜひ話を聞きたい!と思った教室長にお願いしました。役員第1弾は参事の赤居杉月さんです。
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コロナ禍で大人の生徒さんが増えているんですか!?すごいですね。コロナ禍で通い始めた大人の方々はどんな動機で書道をやってみようと教室を探されたんでしょうか?
杉月
最近は「HPを見て」と言われる方が多いですね。やはり、外へも行きにくい、人とも警戒して会う、、、とか内省的になったのでしょうか? 昔々してたから又してみようとか、子供さんを連れて来て、ママがその気になったりとか、コロナ禍で高齢の先生が教室をやめたりとか(私もかなり高齢なんですが)何だか人が居て楽しそうとか、言ってましたね。
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先生の教室には、様々な動機を持つ方々を惹きつけるパワーがあったんですね。素晴らしいです。では、こどもたちの様子についても伺います。SNSでこどもたちと先生が丁寧に挨拶する場面が可愛くて見入ってしまいました。書道教育という面でとくに大切にしていることは何ですか?
杉月
昔から寺子屋教室ですね。先ず、ご挨拶してお稽古して、帰りも黙って帰る子が居るので、グータッチですかね。それと子供達もお稽古事が重なり、高学年の子は孤独な思いをしてるなぁと感じます。だから教室はいつも2~3人の先生方と一緒に運営しています。先生方は目配り気配りして話しかけながら書き辛いところをサポートします。筆順間違いも見つかります。書の教育って一人で出来たのは私の若い時、当時は生徒30人位で、今は先生方の力に頼っています。チーム一丸ですね。お稽古終わりは報告会や反省会になります。以前、璞社の牧野象山先生のお名刺に、誉める・笑う・叱る・とありこれこそ自覚しなくてはと思っています。
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チーム一丸の教室、いいですね!活気のあるようすが目に浮かびます。それでは最後に、今後「書源」や「みなもと」の書道教室を開きたいという未来の教室長に向けてひとことお願いします!
杉月
何かの原稿にも書いたのですが、私は少人数でなさっている方から生徒さんが多数の先生の教室迄拝見させてもらい勉強しました。筆遣いも筆順も大事だけど、子供達や大人の方へ書の楽しさを先ず伝えたらそこから始まるとおもいます。
(取材日:2021年6月23日)
教室長インタビューを始まりました!第1弾は役員・会員から各1名、広報部がぜひ話を聞きたい!と思った教室長にお願いしました。会員第1弾は準会員の中山桜陽さんです。
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書道教室はいつごろから、どんなきっかけで始められましたか?
桜陽
2015年10月に始めました。結婚出産を経て新居を構えるにあたり、長年の夢だった書道教室のための空間を持つことができました。子育てが落ち着いてからのつもりでしたが、当時4歳だった長女のお友達に字を教えてほしいと保護者の方から頼まれたことをきっかけに、できる範囲内で始めることにしました。
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保護者のリクエストで夢の実現が早まったんですね!「できる範囲内」とのことですが、当初の開講ペースはとのくらいだったんですか?
桜陽
はい、家族やその友達が後押ししてくれました。最初は長女入れて3名で週1日・月4回のスタート。でも1ヶ月後には15人くらいになっていましたので、週3日・月4回、夕方の1、2時間くらいを使って開講しました。当時次女が1歳半だったんですが、1年くらいは保育所無しで、おんぶしながら頑張りました。懐かしいです。それがやり出したら楽しくて楽しくて、熱も入ってきて月に4.5人ずつペースで生徒さんの輪が広がっていきました。
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すごい広がりですね!現在はかなり開講日時が増えているのではないでしょうか?
桜陽
現在は月3回にしていますが、日曜祝日以外は教室開講しております。
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その中で、多数を占めるこどもたちに対して工夫している点、大切にしている点などを教えてください。
桜陽
はじめは字を鍛えるために一人一人と真っ向から向き合うことにただただ必死でした。その都度気にかかる小さな問題に向き合ううちに、今の子どもたちに必要な大きな問題が見えてきました。主体的に考え、自分の意見をしっかり持ち、人に伝え行動することができる力。そういった子どもたちの心の育成を大切にしています。やはり何ごとも主体的に自分の頭でしっかり考え動ける子は、長い目で見てもとても大切な力になるということを字を教えることを通して学ばせて頂いています。教室では1時間のお稽古の仕方や作品づくりへの向き合い方、全てのことに対して主体的に取り組んでもらえるような仕組みや声かけの工夫をしています。低学年も多いので、大変なことも多いですが、子どもの変化は早いです。子どもたちの字と心の成長が何より励みになっていて、次々と出てくる問題解決のための私のエネルギー源となっています。
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主体性を大切にする教育、こどもたちの日常や将来にとても意義深いものになりそうですね!たしか、先生の教室理念をあらわす言葉がありましたよね?
桜陽
はい、「字が心を育てる西宝町書道教室」です。2019年、教室増築しリニューアルしたのですが、その時に生徒さん保護者にアンケートをとり、教室スローガンを募集しました。普段のお稽古に対する私の気持ちを分かりやすくまとめてくださり、とても気に入っています。「たくさんの細い枝葉を増やすより、木を支える太い幹を育てたい」そんな気持ちです。
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皆さんの気持ちがこもった教室ですね。さらなる発展をお祈りいたします。最後に、これから書源みなもとの教室を開きたいという未来の支部長先生にひとことお願いします。
桜陽
先生になる自信があったわけでもなく早々と教室を開くことになりましたが、毎日とても楽しくて充実した日々を送ることができています。自分自身も生徒の皆様に励まされ、鍛えられ、成長させてもらっています。何より外から来た私を受け入れてくださる地域のコミュニティが出来、生徒の皆様の輪が広がりました。書道を通して素晴らしい輪が広がったことに感謝しています。「教室を開きたい」「書道が好き」という心の声を大切にされ、ぜひ気軽に書道の楽しさを伝えてくださいね。
(取材日:2021年6月23日)
03 教室長 森口虹月(審査会員)
もりぐち こうげつ
教室:徳島市・徳島県鳴門市
開講:1988年(鳴門は2019年)
現在の生徒:おとな1%・こども99%
インタビュー第1弾をお願いした赤居さん・中山さんがお二人とも「徳島の森口さん!」と言う奇跡の一致。お二人の推薦により正会員の森口虹月さんにお話を聞きました。
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開講当初のことを聞かせてください
虹月
私が子供時代の習字教室では硬筆を指導しているところが少なく子供ながらに疑問をもっていました。33年目になる教室でも1988〜2000年までは地元の競書誌を使っていましたが硬筆部門がなかったので自作のプリントを作ったり学校の宿題などのチェックをし、苦手な文字を探して反復練習をしてもらっていました。
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その後「みなもと」に移行したんですね。
虹月
はい。硬筆部門があるみなもとに移行してからも特に低学年時には競書課題の他に普段の文字のチェックを加え、練習してもらうようにしました。最初は細かく添削されるのを嫌がる子供もたくさんいましたが、学校の先生に褒めてもらえる等の結果がついてきて気がついたら子供達はそれが習慣になってきました。
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習慣になるというのはすごいことですよね!
虹月
4歳から来てくれている6年女子3人に聞いたところ「気がついたらここにくるのが当たり前というか習慣になっとったー!」と答えてくれました。
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先生の信念が子供たちの心と相性よく響きあっているように感じます。
虹月
子供達にとっては少し古くて地味な作業で楽しみを感じる事はないかもしれませんが、そのやり方が自分が出来るベストな方法と信じ込んで30年以上変わらず続けてきました。そして新入会は完全紹介制にしています。既に通ってくれている保護者の方に上記の事を十分聞いた方、子供達も噂等で知った上での体験授業、そして体験でもがっつり直します!それからの入会なので、子供達も覚悟の上、通ってくれているようです。
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夏冬休み恒例の卒業生「お帰りDAY」の投稿を見ました。すごいアイディアですよね!いつ頃からですか?
虹月
1996年頃広い会場に変わってからです。教室の卒業生が夏、冬休みに毛筆の学校の宿題を書きたいと来てくれる様になりました。当時はそんなネーミングではなかったのですが子供達と交わす最初の一言が「お帰り!」だったので最近はその様に言っています。
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すばらしいなあ。しかしここまで軌道にのせるには様々な苦労があったと思います。
虹月
生徒に合わせて添削の内容、復習の量を調整する事でしょうか、以前は自分の理想を押し付け、大量の復習を与えるなど見誤り、嫌がって帰宅しようとする子を裸足で追いかけた記憶があります。今ではその子もりっぱな成人になり、教室に寄ってくれ、笑い話とはなっていますが「あの時はしんどかったー!」と言われます。そしてその調整は今も自分の日々の課題です。
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すごいエピソード!強い絆を感じます。それでは最後に、これから「書源」「みなもと」の教室を開きたいという未来の教室長にメッセージをお願いします。
虹月
うちに通ってくれるのが習慣になったという六年女子3名に今後目標を聞いてみたら口を揃えて「まだまだこれからじゃー!」と答えてくれました。こうした子供達の気持ちや文字の上達の少しずつを、目の前の特等席で見れるのは、毛筆、硬筆の指導者の特権だと思います。そして今も昔も子供達って面白い!多少の苦労は吹っ飛ぶ充実感です。こんなに楽しく、幸せな仕事は一旦始めたらやめられないかもしれません!と、声を大にしてお伝えしたいです。
(取材日:2021年7月25日)
03森口虹月さんのリクエストで、幹事の井上扇寿さんにインタビューしました。2021年に開講した新教室です。
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今年開講されたと聞いています。教室を始めるにはまずは生徒集めだと思いますが、どのようにしたんですか?
扇寿
まず、お借りしている会館にチラシと手書きのポスターを貼りました。近くの小学校の許可を得て入学式に校門前でチラシ配りもしました。
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ポスターは手書き、チラシ配りは保護者と一緒の入学式の日、なるほど!それで子供も大人も通ってくれているんですね。
扇寿
子供たちには、今後何らかの事情で書道を離れてしまっても、また始めたくなるような「書道の楽しさ」を感じてもらえる教室を作っていきたいです。大人の方には、気軽に書道を始めたくなるような「身近な書」を感じてもらえる教室にしたいです。
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井上さん自身も一度書道を離れていたんでしたね。
扇寿
はい、子供の時から習っていた訳ではなく、高3の書道の授業がきっかけで近所の赤居杉月先生の教室に通いました。それも3年程で就職で辞めてしまったのですが、書道を再開したい気持ちがずーっと冷めず、40歳過ぎてからもう一度赤居先生の門を叩きました。再開してからは、楽しくて難しくて、小さなチャレンジを繰り返して、あっという間の約10年経ちました。
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あっという間の10年を経て教室開講を実現されたわけですが、教室のようすはいかがですか。
扇寿
開講当初は、添削に時間をかけすぎてしまい、添削待ちの行列ができることもしばしばありました。ココもソコもと言いたくなりますが、師匠や璞社の先輩方のアドバイスもいただき、良いところを伸ばすこと、楽しくお稽古する事をモットーにし、「楽しかったー!」と言いながら帰って行く子供たちを見て、毎回胸を撫で下ろしてます。また、作品を挟む反古紙を持っていくのを忘れてしまい、床一面に作品を並べることになったり、自分の下敷きと文鎮を忘れて添削に難儀したりと色々失敗もしました。
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いろんなドラマがありますね!井上さんの思いが伝わってきます。これから新しいメンバーも加わって新たなドラマが生まれていきそうですね。
扇寿
そうですね。大人の方はとくに仕事、育児、介護と足踏みすることがあると思いますが、それは勿体ない。きっと書道が支えになってくれます。「『牛のヨダレ』のように細くても途切れず長く続けなさいね」師匠から言われた言葉です。
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心に響く言葉ですね、すばらしいです。それでは最後に、これから書源・みなもとの教室を開きたいという未来の教室長にメッセージをお願いします。
扇寿
書道の専門校出身でなくても、子供のころから習ってなくても、仕事しながらでも、書道が好きで、書道の楽しさを伝えたい気持ちがあれば大丈夫です(と自分に言ってます)。たくさんの先輩方からアドバイスもいただけますし、書源社の皆さんも仕事が早いので、安心して教室運営できます。ぜひ開講してください。
(取材日:2021年7月29日)
書道研究 璞 社
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